ダイソー、キャンドゥと並ぶ三大100円ショップチェーンであるセリアが、今年に入ってから閉店が相次いでいます。
決算資料において、「不採算店整理を推進」と明示されており、経営判断とされていますが、このような状況になった背景を見ていきたいと思います。
セリアとは?
株式会社セリアは、日本の100円ショップを運営する企業で、岐阜県大垣市に本社を置いています。1987年に設立され、現在では全国に約2,000店舗を展開しています。
事業内容
セリアは、100円ショップの運営を中心に、以下のような事業を展開しています。
- 店舗開発事業: 消費者の生活に密着した店舗作りを目指し、商圏規模やマーケット特性を徹底的に調査して、ニーズの高い地域に出店しています。多店舗展開を活かしつつ、地域特性に合わせた多様な出店形態を採用しています.
- 商品開発事業: 消費者ニーズを分析し、100円以上の価値を持つ商品を開発しています。POSデータを活用して、消費者のニーズを把握し、メーカーと共同で新商品を開発しています。また、品質管理にも力を入れています.
経営理念と特徴
セリアの企業理念は、「クリーン」「感謝」「共有」を掲げています。これらの理念に基づき、心地よい店舗環境と高品質な商品を提供することを目指しています。
また、セリアは「100円とは思えないクオリティ」を追求し、消費者に驚きと満足を提供することに注力しています。
業績と成長
セリアは、100円ショップ業界において高い利益率を誇り、特に2010年以降、営業利益率を急激に伸ばしています。これは、効率的な販売戦略と商品開発が功を奏しているためです。
企業情報
セリアは、100円ショップ業界において「量より質」を重視し、消費者に喜ばれる商品を提供することに注力しています。これにより、業界内での地位を確立し、成長を続けています。
セリアが同業他社と異なる特徴
セリアが同業他社と異なる主な特徴は以下の点です:
- 高い利益率: セリアは100円ショップ業界の中で飛びぬけて高い営業利益率を誇っています。
- 商品のデザイン性: おしゃれで可愛らしいデザインの商品が多く、「可愛い・萌え」というイメージが強いです。
- ターゲット層: 20〜50代前半の女性をメインターゲットとしており、他社よりも若い層に支持されています。
- 価格設定: 全商品が100円(税抜)で、他社のように200円以上の商品は扱っていません。
- 店舗デザイン: カフェや雑貨屋のようなオシャレな雰囲気の店舗が多いです。
- データ活用: 顧客層分析を止め、代わりにSNSや街の消費者の生の声を重視する独自の戦略を取っています。
- 出店戦略: 売上拡大のため積極的に出店を続けており、店舗利益が多少悪化しても出店を通じて売上拡大を狙う姿勢があります。
- 商品開発: インスタ映えするデザインの商品や、コレクター向けグッズなど、SNSで話題になりやすい商品開発に力を入れています。
これらの特徴により、セリアは他の100円ショップとの差別化に成功し、独自のポジションを確立しています。
セリアの大量閉店
セリアの大量閉店について、以下の点が明らかになっています:
閉店の規模と原因
セリアは2023年4月から2024年3月の期間に69店舗を閉店しており、前年より26店舗多く閉店しています。
この大量閉店の主な原因は以下の通りです。
- 円安の影響: 円安により輸入コストが大幅に上昇しました。2024年には1ドル160円を記録し、仕入れ価格が急激に上がりました。
- 利益率の低下: 売上高は過去最高の約2230億円を記録しましたが、純利益は約98億円と大幅に減少しています。
- 固定費の上昇: 燃料費、人件費、地代家賃などの固定費が高騰しています。
- 100円へのこだわり: 他の100円ショップが100円以上の商品を展開する中、セリアは100円にこだわり続けています。これが利益率低下の一因となっています。
- 不採算店舗の整理: セリアは採算性を精査し、不採算店舗の閉鎖を進めています。
今後の展望
セリアは今後、100円路線を維持するか、他社のように高価格帯の商品を導入するかという難しい決断を迫られています。
消費者からの支持は高いものの、経営環境の厳しさが続く中で、今後の戦略が注目されています。
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