最近スーパーなどから米を見かける機会が減ってきました。身近になってしまったコメ不足ですが、これがいつまで続くのか。このようになった原因や過去の事例などもあわせて見ていきたいと思います。
2024年コメ不足の要因
2024年のコメ不足は、複数の要因が重なって生じた深刻な問題となっています。
主な要因
- 生産面の課題
- 品質と供給の問題
- 需要の変化
- コロナ禍からの回復に伴う外食需要の増加
- インバウンド観光客の増加に伴うコメ需要の拡大
- ロシア-ウクライナ戦争による小麦価格高騰の影響による、パン食から米食への回帰傾向
現状
コメの品薄状態は地域や店舗によって異なります。一部のスーパーでは在庫不足や購入制限が見られる一方、通常通り販売している店舗もあります。
農林水産省の発表によると、2024年3月末時点で民間企業が保有するコメの在庫量は215万トンあり、完全な品切れ状態ではありません。
一方で、コメの価格は2023年6月頃から急騰し始め、この状況はしばらく続くと思われます。
今後の見通し
需給バランスの見通し
農林水産省の見解によると、現在の在庫状況は過去と比べて特異なものではないとしています。
農水省は、人口減少などの要因で米の需要量自体が減少傾向にあることも指摘しています。
新米の出荷開始で需給改善へ
現在のコメ不足は一時的な現象であり、新米の出荷が始まることで徐々に解消されると予想されています。具体的には以下のような動きが見られます:
- 8月から本州の早い地域で新米の収穫が始まっています。
- 9月以降は新潟県や東北地方など主要産地の新米が本格的に出回る見通しです。
- 千葉県では既に新米の収穫が始まっており、地元農協は品薄状況が解消されていくと見ています。
価格への影響
コメの価格について、2024年産の新米相場も2023年産比で上昇するとの見方が広がっています。
以上のことから、コメ不足の状況は新米の出荷とともに徐々に改善されると見込まれますが、価格面では上昇傾向が続く可能性があります。
ただし、需給バランスが大きく崩れるような事態には至らないと予測されています。
消費者は価格上昇に備えつつ、過度な買い占めを避け、落ち着いた対応が求められます。
過去のコメ不足:平成の米騒動 (1993年)
1993年に発生した「平成の米騒動」は、日本の米供給に大きな混乱をもたらした重要な出来事でした。以下にその詳細を説明します。
発生の背景
1993年の日本は記録的な冷夏に見舞われました。この異常気象の主な原因は、1991年6月にフィリピンのピナトゥボ山が噴火したことだと考えられています。
夏の気温は平年より2〜3度も低く、これが米の生育に深刻な影響を与えました。
米不足の実態
1993年の米の需要量は1,000万トンでしたが、収穫量は783万トンにとどまりました。政府備蓄米23万トンを全て放出しても、約200万トンの不足が生じる事態となりました。
この深刻な不足により、以下のような状況が発生しました:
- 消費者や卸売業者が米の確保に奔走
- 小売店の店頭から米が消失
- 東北の米農家が自家用の米を購入する事態
- 北東北では翌年の種籾の確保ができない地域も
原因と背景
- 記録的冷夏と日照不足: 異常気象による生育不良が主な原因でした。
- 品質重視の傾向: 消費者の食味・品質追求志向が高まり、冷害に弱いブランド米への需要が増加していました。
- 減反政策の影響: 農家の営農意欲が削がれ、基本的な栽培技術の励行が不十分だった可能性があります。
政府の対応
1993年(平成5年)12月14日、政府は米の輸入を決定しました。これは日本の農業政策における大きな転換点となりました。
- タイ産米などの外国産米を緊急輸入
- GATTの交渉で最低量の輸入義務(ミニマム・アクセス)を受け入れ
- 1995年に食糧管理法を廃止し、新たに食糧法を制定
影響と結果
- 品種改良の促進: 冷害に弱いササニシキから、耐冷性に優れたひとめぼれやななつぼしなどの品種への転換が進みました。
- 米市場の開放: 外圧と不作を背景に、それまで保護されてきた日本の稲作市場が開放されることになりました。
- 自給体制の脆弱性露呈: 国内の米自給体制のもろさが明らかになりました。
収束
1994年には一転して猛暑と渇水となり、全国的に豊作となったことで米騒動は完全に収束しました。しかし、この騒動は日本の食料政策や国際的モラルに大きな影響を残すことになりました。
この「平成の米騒動」は、日本の農業政策と食糧安全保障に関する重要な教訓となり、その後の品種改良や農業政策の見直しにつながりました。
まとめ
現在、コメ不足の状況となっていますが、過去のコメ不足(米騒動)の時と比べると、今年に関しては輸入をしないといけないというような状況に至ってはいません。
まずは新米が出てくることによる需給バランス調整により、少しずつお米が私たちの元に戻っていくことが期待されます。
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