【悲報】楽譜作成ソフトウェア「Finale」の開発終了!業界に与える影響や今後必要となる対応とは?

時事

米国のソフトウェアメーカーMakeMusicは2024年8月26日、楽譜作成ソフト「Finale」の開発を終了すると突然発表しました。長い歴史を持つソフトウェアで、私も愛用していましたので、突然のニュースに驚いています。

今回は、Finaleの開発終了に関する情報についてまとめてみました。Finaleが今後使えなくなるということで、2025年8月以降の大きな変更も含めて対応が必要な点もありますので、それもあわせてまとめていきます。

(出所:音楽クリエイター・池上幸太朗さん(https://www.youtube.com/watch?v=UKiDaGx7HvY))

Finaleとは?

Finale | フィナーレ - 世界標準の楽譜作成ソフトウェア | Finale製品紹介
フィナーレの最新版「Finale version 27」は、国際基準SMuFLに拠る約3,000種類の音楽記号を新たに追加、表現力が飛躍的に向上しました。さらに日本語版では、独自に100種類以上の即戦力テンプレート集をウェブコンテンツとして...

Finaleは35年の歴史を持ち、国内外の音楽家や音楽出版関係者の間で広く普及していた業界標準のソフトウェアでした。多くのプロの音楽家や出版社が使用しており、出版されている楽譜の大半がFinaleで作成されています

(出所:サックス&ヴェノーヴァ大池夏機さん(https://www.youtube.com/watch?v=_71brh0PmgM&t=426s)

また、Finaleは最も機能が豊富で柔軟性の高い楽譜作成ソフトの1つとして知られています。オーケストラのような大編成の楽譜や、特殊な記譜が必要な楽譜など、ほぼあらゆる種類の楽譜を作成することができます

Finaleは、1989年に初版がリリースされました。当初はMacintosh専用のソフトウェアでした。Windows版は後に開発されました。

日本では、1998年にMacintosh版(日本語版)とWindows版(英語版)が発売されました。これにより、日本のユーザーも本格的にFinaleを使用できるようになりました。

初期のバージョンでは、現在のような高度な自動レイアウト機能やヒューマンプレイバック機能などはまだ搭載されていませんでした。これらの機能は後のバージョンで順次追加されていきました。

当時としては革新的な楽譜作成ソフトウェアであり、手書きの楽譜作成に比べて大幅な効率化を実現しました。

Finale開発終了について

楽譜作成ソフトウェア「Finale」の開発終了について、以下の詳細が明らかになっています。

開発終了の発表とその理由

米国のソフトウェアメーカーMakeMusicは2024年(令和6年)8月26日、楽譜作成ソフト「Finale」の開発を終了すると突然発表しました

MakeMusicは開発終了の理由として、以下を挙げています。

  • OSの進化に合わせてコードが数百万行にまで膨れ上がり、管理が困難になった
  • 顧客に付加価値を提供するのが難しくなった

今後の対応

開発終了に伴い、以下の変更が即日実施されました。

  • Finaleおよび関連ツールの今後のアップデートは行われない
  • MakeMusic eStoreでのFinaleの購入・アップグレードは不可能になります。新規ユーザーはFinaleを入手できず、既存ユーザーも最新版へのアップグレードができなくなります。
  • 新しいデバイスでのFinaleの認証や再認証はできなくなる
  • テクニカルサポートは利用不可となるため、ユーザーは問題解決を自力で行うか、コミュニティフォーラムなどを利用する必要があります。

ただし、現在インストールされているデバイスでは引き続き動作します(OSの変更を除く)

代替ソフト(Dorico)について

MakeMusicは代替ソフトとして、プロフェッショナル向けの高機能な楽譜作成ソフトウェアであるSteinberg社の「Dorico」を推奨しており、Finaleユーザー向けの特別割引も用意されています

楽譜作成ソフトウェア - Dorico | Steinberg
作曲や編曲、楽譜出版から、音楽教材の作成や学習まで — Dorico は美しい楽譜をすばやく作成できる新しい世代のソフトウェアです。

Steinberg社は、音楽制作ソフトウェアの開発で世界的に知られているドイツの会社で、1984年にハンブルクで設立された音楽ソフトウェア開発会社です。2005年以降、ヤマハ株式会社の子会社となっています。

Doricoは2016年11月に発売された比較的新しい楽譜作成ソフトウェアで、作曲家や演奏者のモチベーションを高める新次元のツールとして開発されました

(出所:Computer Music Japanさん(https://www.youtube.com/watch?v=H1G-kWThn6M))

以下にDoricoの主な特徴と機能をまとめます。

主な特徴

  • 直感的な操作性: ユーザーフレンドリーなインターフェースで、初心者でも簡単に使いこなせます
  • 美しい楽譜出力: 手書き浄書に迫る美しい楽譜を作成できます
  • 高品質な音源再生: 業界標準のDAW(デジタル・オーディオ・ワークステーション)ソフトウェアであるCubase譲りの生き生きとした音源再生が可能です
  • 柔軟な楽器編成: オリジナルの楽器編成でも問題なく作成できます
  • 自動整形機能: 楽器グループの自動括弧付けなど、プロ仕様の見やすい譜面を簡単に作成できます

バージョンと機能

Doricoには複数のバージョンがあります:

  1. Dorico Pro: 最上位版で、プロフェッショナル向けの全機能を搭載
  2. Dorico Elements: 中級者向けの機能を備えたバージョン
  3. Dorico SE: 無償のエントリー版で、8パートまでの楽譜作成が可能

主要機能(Dorico Pro 4の例)

  1. 記譜モードのキーエディター: ピアノロール、ベロシティ、コントローラーレーンを搭載し、Cubaseに近い操作感を実現
  2. スマートなMIDIデータインポート: MIDIファイルを楽譜に変換する機能が強化されています
  3. VST3対応: バーチャルインストゥルメントやエフェクトの使用が可能

今後必要となる対応

Finaleの開発終了に伴い、ユーザーは以下の点に注意する必要があります。

即時の変更点

  • Finaleおよび関連ツール(PrintMusic、Notepad、Songwriter)の更新が停止されました
  • MakeMusic eStoreでのFinaleの新規購入やアップグレードができなくなりました

今後の対応

  1. 現在のインストール環境の維持
    • 既にインストールされているデバイスでは、OSの変更がない限り引き続き動作します
    • 新しいデバイスへの移行や再認証はできなくなるため、現在の環境を維持することが重要です。
  2. テクニカルサポートの終了
    • Finale v27を含む全バージョンのテクニカルサポートが利用できなくなります
    • 今後発生する問題は自己解決が必要となります。
  3. 2025年8月以降の注意点
    • 新しいデバイスでFinaleを認証したり、再認証したりすることができなくなります
    • この時期以降、デバイスの変更や再インストールが必要な場合、Finaleが使用できなくなる可能性があります。
  4. 代替ソフトウェアへの移行検討
    • MakeMusicはSteinbergの「Dorico Pro」を代替ソフトとして推奨しています
    • Dorico Proへの特別割引が提供されているため、移行を検討する価値があります。
  5. Macユーザーへの特別な注意
    • MacのOSアップデートにより、Finaleが起動できなくなる可能性があります
    • MacユーザーはOSのアップデートに特に注意を払う必要があります。
  6. データのバックアップと互換性の確認
    • 今後のソフトウェア移行に備えて、現在のプロジェクトデータを適切にバックアップしておくことが重要です。
    • 他の楽譜作成ソフトとのファイル互換性を確認し、必要に応じてデータ変換の方法を検討しておくべきです。

これらの点に注意しながら、長期的な楽譜作成環境の計画を立てることが重要です。

まとめ

楽譜作成ソフト「Finale」の開発終了が発表され、業界に大きな衝撃を与えています。私を含め音楽に携わっている多くの方が驚かれたことかと思います。

開発元のMakeMusicは、OSの進化に伴うコードの膨張や付加価値の提供が困難になったことを理由に挙げています。

今後、Finaleの新規購入やアップデートは不可能となり、テクニカルサポートも終了しますので、既存ユーザーは現在のデバイス環境を維持し、新しいデバイスへの移行は慎重に検討する必要があります。

さらに、代替ソフトとしてSteinberg社の「Dorico」が推奨されており、移行の際には特別割引が提供されているので、乗り換えを検討するのも一つの方法だと思います。

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