アラン・ドロンは、フランスを代表する映画俳優で、2024年(令和6年)8月18日に88歳で亡くなりました。今回はいまさら聞けないアラン・ドロンさんの経歴や代表作などについて取り上げてみます。
アラン・ドロンの経歴
アラン・ドロンは、パリ近郊のソーで生まれ、波乱に満ちた幼少期を過ごしました。17歳で仏空軍に入隊し、除隊後は様々な職を経験しました。1957年に映画「女が事件にからむ時」でスクリーンデビューを果たし、1960年の「太陽がいっぱい」で世界的なスターとなりました。その後、数々の名作に出演し、フランス映画界を代表する俳優として活躍しました。晩年は、2017年に引退を表明し、2019年にはカンヌ映画祭で名誉賞を受賞しました。その後、脳卒中で倒れ、療養生活を送っていました。
- 1935年(昭和10年)11月8日:パリ近郊のソーで誕生
- 1952年:17歳で仏空軍に入隊
- 1956年:除隊後、様々な職を経験
- 1957年:映画「女が事件にからむ時」でスクリーンデビュー
- 1960年:「太陽がいっぱい」で世界的スターに
- 1963年:「山猫」に出演
- 1964年:女優ナタリー・ドロンと結婚
- 1969年:息子アンソニー・ドロン誕生
- 1969年:ナタリー・ドロンと離婚
- 1967年:「サムライ」に出演
- 1969年:ボディガード射殺事件に巻き込まれる
- 1970年:「ボルサリーノ」に出演
- 2017年:引退を表明
- 2019年:カンヌ映画祭で名誉パルム・ドールを受賞
- 2024年8月18日:88歳で死去
代表作
「太陽がいっぱい」(1960)
「太陽がいっぱい」は、アラン・ドロンの代表作の一つとして高く評価されている映画です。
以下にこの映画の主な評価ポイントをまとめます。
アラン・ドロンの演技
- アラン・ドロンの美しさと演技力が際立っており、この作品で彼は世界的なスターとなりました。
- グリーンの瞳が妖しく輝き、金持ちの友人を殺して成り代わろうとする役柄に見事にはまっていると評されています。
- コンプレックスや恥辱、嫉妬、羨望といった複雑な感情を巧みに表現し、観客をゾクゾクさせる演技を披露しています。
映画の魅力
- ルネ・クレマン監督の映像テクニックが高く評価されており、地中海の波に揺れるヨットが主人公の不安な心情を表現するなど、視覚的な演出が秀逸です。
- ニーノ・ロータによる甘美なテーマ曲も印象的で、多くの観客の心に残る音楽として評価されています。
- ラストシーンのどんでん返しは、何度見ても胸を締め付ける力強さを持っているとの評価があります。
キャスティング
個人的な関連性
「太陽がいっぱい」は、アラン・ドロンの魅力が存分に発揮された作品として、多くの映画ファンに愛され続けている名作と言えるでしょう。
「若者のすべて」(1960)
アラン・ドロンが出演した映画「若者のすべて」に関する評価は概ね高く、以下のような点が挙げられています。
演技と存在感
物語と演出
キャラクター
アラン・ドロンが演じる三男ロッコのキャラクターについて:
全体的な評価
この映画は、アラン・ドロンの魅力的な演技と、複雑な家族関係を描いた重厚な物語で、多くの観客に強い印象を残した作品だと言えるでしょう。
「山猫」(1963)
アラン・ドロンが出演した映画「山猫」についての評価は以下のようにまとめられます:
高い評価
- 不朽の名作として高く評価されている作品です。
- 映像の美しさが特に称賛されており、4K修復版での鑑賞は贅沢な体験だと評されています。
- バート・ランカスターの威厳ある演技、アラン・ドロンの美しさ、クラウディア・カルディナーレの魅力的な演技が高く評価されています。
見どころ
批評的な意見
総合評価
「山猫」は、その美しい映像と深遠なテーマ性で多くの観客に愛される一方で、ストーリーテリングの面では賛否が分かれる作品と言えます。アラン・ドロンの魅力的な演技は作品の大きな魅力の一つとなっていますが、監督ビスコンティの独特な演出スタイルは人によって好みが分かれるようです。
「サムライ」(1967)
アラン・ドロン主演の映画「サムライ」は、多くの観客から高い評価を受けている作品です。以下にその主な理由をまとめます。
演技と存在感
アラン・ドロンの演技と存在感が際立っています。
- チャコールグレーのスーツにトレンチコート、中折れ帽という洗練された衣装で、孤高のヒットマンを完璧に演じきっています。
- その美しさと佇まいは「パーフェクトな美しさ」と評され、観客を魅了しています。
- 虚無的な眼差しと抑制された演技で、孤独な殺し屋の内面を巧みに表現しています。
映像美と演出
監督ジャン=ピエール・メルヴィルの演出も高く評価されています。
- モノトーンに近い色彩と陰影を用いた洗練された映像美が特徴的です。
- 極端に台詞が少なく、静寂と抑制された演出で物語を展開する手法が独特です。
- パリの夜の街並みやナイトクラブなど、フィルムノワールの雰囲気を巧みに醸成しています。
ストーリーと主題
物語の展開と主題も観客の心を捉えています。
- 警察と依頼人の双方から追われる孤独な殺し屋の姿が、緊張感のある展開を生み出しています。
- 「サムライ」という題名が示す通り、主人公の生き方を日本の侍に例えた斬新な発想が評価されています。
- 孤独や職業倫理といった普遍的なテーマを、スタイリッシュに描き出しています。
影響力
この作品は、後の映画にも大きな影響を与えたとされています。
「サムライ」は、アラン・ドロンの魅力的な演技、独特の映像美と演出、普遍的なテーマを扱ったストーリーが高く評価され、映画史に残る名作として認められています。
日本での人気
アラン・ドロンは日本でも多くのファンを魅了しました。
日本語吹き替えでは、野沢那智が長年にわたってアラン・ドロンの声を担当し、「アラン・ドロンの吹替といえば野沢那智」というイメージが定着しました。
個人的エピソード
アラン・ドロンは1969年頃にボディガード(マルコヴィッチ)が射殺される事件に巻き込まれ、一時は殺人容疑をかけられる大スキャンダルとなりましたが、後に無実が証明されています。
アラン・ドロンは、その類稀な美貌と演技力で、1960年代から1970年代にかけて「世紀の二枚目」と呼ばれ、世界中の映画ファンを魅了し続けた伝説的な俳優でした。
まとめ
アラン・ドロンさんが亡くなられたこと、まさに巨星墜つというところで、驚いた方も多いかと思います。
改めて名作と呼ばれる数々の作品を鑑賞し、ご冥福をお祈りしたいと思います。
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